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東京地方裁判所 平成4年(特わ)2235号 判決

本店所在地

東京都港区新橋一丁目一四番四号

株式会社スミ・シモヤマ

(代表者代表取締役 下山壽美子)

本籍

東京都港区虎ノ門四丁目一番

住居

同都大田区上池台四丁目四四番二号

会社役員

下山壽美子

昭和一五年一月一日生

主文

被告人株式会社スミ・シモヤマを罰金二〇〇〇万円に、被告人下山壽美子を懲役一〇か月に処する。

被告人下山壽美子に対し、この裁判の確定した日から三年間刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社スミ・シモヤマ(以下「被告会社」という。)は、東京都港区新橋一丁目一四番四号に本店を置き、バー及びナイトクラブの経営等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人下山壽美子(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた。被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと考え、売上げの一部を除外するなどの方法により所得の一部を隠して、

第一  昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三八一二万六五二三円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、平成元年二月二八日、同区芝五丁目八番一号にある所轄の芝税務署において、税務署長に対し、その所得金額が零で、納付すべき法人税はないという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額一五〇五万二九〇〇円(別紙3脱税額計算書(1)参照)を免れた。

第二  昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億三七九〇万一八六二円であった(別紙2修正損益計算書参照)のに、平成二年二月二八日、芝税務署において、税務署長に対し、その所得金額が五四六万三九三七円で、これに対する法人税額が一五五万九四〇〇円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額五六八七万八九〇〇円と申告税額との差額五五三一万九五〇〇円(別紙3脱税額計算書(2)参照)を免れた。

(証拠)

(注)括弧内の算用数字は、押収番号を除き、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

全事実について

1  被告人の

〈1〉  公判供述

〈2〉  検察官調書八通

2  天野尚行(五通)、田邊見榮子、円城寺久子、石原和枝、山本勝美の検察官調書

3  売上高調査書、ホステス売上高調査書、プチパルテノン売上高調査書、仕入高調査書、役員報酬調査書、給料手当調査書、ホステス給料調査書、契約金償却調査書、旅費交通費調査書、通信費調査書、広告宣伝費調査書、支払手数料調査書、出演料調査書、雑費調査書、営業費調査書、受取利息調査書、貸倒損失調査書、欠損金の当期控除額調査書

4  証拠品提出書

5  商業登記簿謄本

第一の事実について

6  福利厚生費調査書、交際費調査書、消耗品費調査書、交際費損金不算入額調査書

7  捜査報告書(甲2、24)

8  法人税確定申告書一袋(平成五年押第六二号の1)

第二の事実について

9  賞与調査書

10  捜査報告書(甲23)

11  法人税確定申告書一袋(同押号の2)

(法令の適用)

罰条

被告会社について いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人について いずれも同法一五九条一項

刑種の選択

被告人について 懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段

被告会社について 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の重い第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

(出席した検察官鈴木亨、弁護人橋本正勝、徳田幹雄、安田道夫)

(裁判官 朝山芳史)

別紙1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙2

修正損益計算書

〈省略〉

別紙3

脱税額計算書

会社名 株式会社スミ・シモヤマ

(1) 自 昭和63年1月1日

至 昭和63年12月31日

〈省略〉

(2) 自 昭和64年1月1日

至 平成元年12月31日

〈省略〉

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